境界性パーソナリティ障害のカウンセリングと心理療法

パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害や、情緒不安定性パーソナリティ障害の人を
カウンセリングの形で、改善させていくことはできますが、
この疾患(本来は性格の傾向であり、人格が未熟な状態)の特徴として、

他者に容易に依存し、救いを求めるようなかかわり方をしがちであるのに、
何かのきっかけから、それまで依存していた相手を敵視し、激しい攻撃の
対象としてしまう、という行動様式が存在していることを知らずして、

心理療法を完遂させることは容易ではありません。
というのも、このような反応様式が、カウンセリングをする医師や
カウンセラーに向けられることで、心理療法そのものが難渋していくからです。

たとえば、それまで熱心に医師やカウンセラーの指導に従うそぶりを
見せていた患者が、あるとき、突如として、その医師やカウンセラーに
「私を否定した」「私を馬鹿にした」「私に被害を与えた」

という趣旨の反論、攻撃を繰り返し始めることが多々あります。
これは、境界性パーソナリティ障害の患者とかかわりをもった全ての
精神科医や心療内科医、そして臨床心理士などが、実感している現象です。

カウンセラーの言葉のひとつひとつをとりあげては、
この言葉が私を否定した言葉、この表現が私を馬鹿にした言葉、
この言い回しが私の人格を踏みにじっている、といった風に反応します。

こうした行動様式は境界性パーソナリティ障害の人にとっては
日常茶飯事であり、家庭や職場や恋愛の場でいつも繰り返しているのです。
そうして、人間関係が破綻し、いつも孤独感に苛まれています。

一見、プライドが高いふうな態度であっても、境界性パーソナリティ障害の
人は、自己重要感が低く、自分について否定的に考えています。

そのため、認知の歪みの中でも、悲観的予言、
過度の一般化(全て悪い方に決め付ける)
といった歪んだ見方で、周囲を観察しますので、

わずかなきっかけから、カウンセラーの言葉を自分への批判、非難、攻撃、
否定の言葉であると受け止めるようになります。
こうなると、カウンセリングはクレーム、言いがかりと、それへの対処、

といった形に流れていき、患者の抱える問題を解決することができず、
水掛け論のような問答が続くことになります。
そのうち、患者のほうが、疲れて治療を投げ出すことになります。

医師やカウンセラーのほうから、治療継続の断念を告げられるケースも
多いです。こうして、境界性パーソナリティ障害の患者は、再び、
「見捨てられた」と受け取り、いっそう、「見捨てられ不安」を増強させていきます。

境界性パーソナリティ障害の特質である「見捨てられ不安」「低い自己評価」
(その裏返しのプライドの高さ)、そして、「すぐに被害者になりたがる傾向」
こうしたすべての要素が、心理療法に難渋する要因となっているのです。

したがって、境界性パーソナリティ障害の患者を改善させるには、
まず、境界性パーソナリティ障害とはいかなる疾患であり、どんな傾向が
あるのかを十分に理解させ、病識を持たせる必要があります。

暴走する被害者意識を自覚し、それを自分で改めることができるよう
訓練させることが重要です。

境界性パーソナリティ障害の患者が被害者意識にとらわれている状態のとき、
「それが被害者意識ですよ」と指摘されても、絶対にそれを認めません。
そうなってしまう前に教育し、病気への意識を高めることで治癒のチャンスが生まれます。

うまく病識を持たせることができれば、他者批判や被害者意識に過度にとらわれず、
「自分の受け取り方を変えることで対人関係が改善する」という心理法則を
学ばせることができるのです。

被害者意識の背景には自分を守ろうとする脆弱な自我意識があります。
弱すぎる自我(低すぎる自己価値)を守ることに必死なのです。
この自我に対しては、それを認め、肯定し、承認して癒やす必要があります。

境界性パーソナリティ障害の背景には、愛着障害があります。
幼児期から思春期までのあいだに、十分な愛情を両親から与えられず、
愛着形成に支障をきたしている状態が愛着障害です。

カウンセラーは、この愛着障害を癒やす視点で、患者の自己肯定感を
高めつつ、諸悪の根源である被害者意識からの脱却を援助しなければなりません。
「自分が変われば周囲が変わり、人生が変わる」ことを悟らせ、

「変わりたくない」がゆえに、変革を求めるすべての存在を敵視し、
被害者となって、防衛戦に身を投じようとする患者の「未熟な人格」を
親代わりとなって「成熟した人格」へと、育てることが治癒の鍵となります。

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