パーソナリティ障害の予防と改善

「パーソナリティ障害」は人格が未成熟で病的な個性および自我の形成不全がその本態であるとされています。未熟な自我形成による認知の歪みが原因の一つで、それは家庭環境や両親から受ける影響(愛着障害など)も関連しているとされます。

パーソナリティ障害の種類

パーソナリティ障害、パニック障害、強迫性障害など、障害という言葉がつく精神疾患がいくつかありますが、パーソナリティ障害の場合も、抑うつや不安感、希死念慮などの、問題となる症状が出現することがあります。境界性パーソナリティ障害や依存性パーソナリティ障害など、
いくつかのタイプに分類されています。パーソナリティ障害は、社会的逸脱や柔軟性の欠如、社会的機能の障害が認められる場合に診断されます。その人の性格に起因する問題ですが、苦痛が、本人にとってあまりにも大きく、生きづらさを感じており、人生を不幸な方向に導いているものです。

愛着障害、家庭環境などとパーソナリティ障害の関係

自我の形成期における家庭内環境がその原因とされ、なんらかの愛着障害があるとされています。改善には、認知行動療法などの認知の歪みを修正する心理療法で根気よく、自我の偏りを整えていきます。自己暗示などの潜在意識に働きかける心理療法も使われます。潜在意識に暗示として、健全な世界観を入れていくのも有効です。パーソナリティ障害(人格障害)のトラブルでもっとも多いのは、恋愛や結婚における問題です。相手が人格障害があることに気がつかないまま、交際を開始したために、ストーカー行為を受けた挙句に殺される事件も増えています。

恋愛や対人関係をこじらせる境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害(情緒不安定性パーソナリティ障害)の場合には、見捨てられ不安が非常に強いので、親密になることで、返って不安定になります。愛情を試すような言動をとって困らせたり、見捨てられるのではないかという自己否定に走って、ついには自殺企図、リストカットなどの自傷行為を起こします。妄想性パーソナリティ障害の場合には、相手に裏切られるのではないかとの不安と猜疑心により、過度の束縛や監視などで行動を縛り付けます。言うことをきかないと暴力を振るうケースもあります。自己愛性パーソナリティ障害の場合には、恋人や伴侶を自分の奴隷のように扱います。親密になることで本性があらわれ、DV、経済的依存などがみられます。

サイコパス(反社会性パーソナリティ障害)

最近では、サイコパスとも呼ばれている、反社会性パーソナリティ障害の場合には、恋愛関係になると、相手を支配、搾取するのが当然と考えるようになります。その結果、暴力、脅迫に始まり、薬物や売春などの危険な行為を強要され、人生がずたずたに破壊されてしまいます。これらの人格障害者との恋愛関係に入ってしまったら、初期の段階できっぱりとした対応をとるしかありません。問題が出現したときに黙認しないことです。ストーカー、虐待、DVの多くは、人格障害が関与しています。不用意につきあうことで、覚せい剤依存にされたりする事例もあるのです。

深い関係になることを恐れる回避性パーソナリティ障害

回避性パーソナリティ障害やシゾイドパーソナリティ障害の場合には、長いこと交際しているのになかなか結婚をしない傾向があります。人格障害(パーソナリティ障害)の原因については、多くの研究者の見解として、生育環境が大きな影響を与えているということがわかってきています。人格障害を発症しやすい遺伝的素因などがあるにせよ、人は適切な環境で育つことで人格は健全に形成されます。愛着障害はパーソナリティ障害が発症する大きな原因です。人間形成とは人格形成であり、それは生まれてからの育てられ方に大きく影響されているのです。母親、父親からどのように接してこられたか、両親との十分なスキンシップがあったのか、愛情を十分に受け取れたのか、家族がともに過ごす時間が十分にあったのか、そして、両親からどのような言葉をかけられて育ったのか。といった要因により、愛着障害になるかどうかが決まります。

パーソナリティ障害と発達障害(自閉症スペクトラム障害)

愛着障害の後に発症することが多いので愛着障害を予防することは重要です。パーソナリティ障害は発達障害(自閉症スペクトラム障害)とも関連していることも多く、発達障害の傾向があることでパーソナリティ障害も発症しやすくなります。そして発達障害の場合でも、育てられ方次第では、ほとんど問題のない健全な状態で育っていくことで、その素因があっても目立たない、健全なる大人になるケースもあります。一方で発達障害の負の側面がいっそうひどくなっていく場合もあります。その過程で、パーソナリティ障害を発症していく人もいるのです。特に、パーソナリティ障害の中でも、アスペルガー症候群に多いのが、シゾイドパーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害です。アスペルガー症候群のもつ孤独癖がシゾイドパーソナリティ障害に
つながり、アスペルガー症候群のもつ、秩序愛が過度になることで、強迫性パーソナリティ障害が発症していきます。また、ADHD(注意欠陥/多動性障害)の場合は、その乱暴な性質が増強して反社会性パーソナリティ障害になる場合があります。ADHDの移り気な性質が過剰となることで境界性パーソナリティ障害となっていくケースもあります。

パーソナリティ障害の予防と改善

子供を愛着障害にしないよう、共感的、受容的なかかわり方で愛情をもって子育てをしていくことは、パーソナリティ障害の予防に重要です。また、できるだけ情緒が安定した母親により、長い時間、いっしょにいる中で育てられるのが理想であり、愛着障害の予防の観点からはゼロ歳児保育や早期の保育施設利用は、好ましいことではないのです。発達障害の傾向がある子どもは、できるだけ本人の特性を周囲が理解してあげて、その個性を伸ばせるポジティブな社会経験を積ませてあげることで、人格障害になることを防ぐことができます。これほど、生育環境と両親の影響が子どもに大きな結果をもたらすのです。子どもの潜在意識にインプットされていく親や周囲からの刺激はとても重大な結果につながるということです。発症した後の改善のためにも、認知行動療法など心理療法は重要です。認知のゆがみを解消し、潜在意識にプラスの刺激を与えていくことは、あらゆる精神疾患の予防、改善につながっています。

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