恋愛依存症について

夫から毎日のようにダメだしをされて、心がずたずたになっている人がセラピーに来ました。この夫婦は、妻が年上であり、夫が自営業で自己実現をめざしている人でした。結婚はできちゃった結婚であり、交際しているときから、すでに結婚は無理ではないかと思わせるほどの夫からの指示、指導、支配がありました。しかし、その女性は、この束縛にひたすら耐えて、「自分が悪いのです。自分の性格を改善したいです」と悩んでいるのでした。

DV男性との共依存に苦しむ女性

友人や親に相談してみると、誰もが「別れたほうが良い」とアドバイスしてくれるのですが、彼女はどうしても、それを素直に受け取れません。あくまでも「自分の性格改善をしてプラス思考になれば」問題を解決できると考えているのです。これは、一種の恋愛依存症です。自分を支配し、ダメだしを続ける夫に、依存しているのです。彼女にとってはこの夫と離れることが恐怖なのです。その不安よりも、支配され束縛され抑圧される苦しみを選んでいるのです。安定という名の不自由を選んでいるのです。もっとも、その状態は全然安定などはなく、彼女は常に無力感と不安にさいなまれ、苦しい気持ちで日々を送っているのです。この事例は極端ですが、恋愛関係や、夫婦関係で、自立した個人と個人の対等な関係でなくなり、一方が一方を支配し、コントロールし、束縛するケースはしばしばみられます。コントロールする側は、支配することでしか心の安定、安心を得られないので、相手から支配という形で愛情を奪い取っているのです。愛の簒奪をしているのです。奪われる側は、次第に疲弊して枯渇して、最終的には、この関係は、決定的な事件がおきて破綻します。奪われる側がどこかの時点で爆発、暴走するのです。

共依存の背後には愛着障害がある

これは依存する側と、依存することに依存する(共依存といいます)側が相互に作り出している関係です。どちら側にも背景として愛着障害が存在しています。どちらかがこれに気づくことでしか関係を変えることはできません。男女関係は、基本的に人格と人格の対等な関係です。支配、被支配、あるいは依存、被依存の関係は、歪んだ状態です。そして、そもそも「あるがままのあなた」を愛してくれる人こそが、本当の意味での伴侶なのです。もし、「あるがままのあなた」に問題があるとしたら、伴侶はそれを強制的に変えさせようとするものではないのです。もし、耐えられない部分があるのであれば、それは、命令や批判や問責ではなく、自分の気持ちとして相手に理解を求めるコミュニケーションをすることが大切です。相手を批判するのではなく、自分の気持ちを伝える。自分の言いたいことをきちんと主張しながらも、相手の心情を十分に配慮した表現方法をとる。これをアサーションと言いますが、相手の人格否定をしない伝え方をお互いに学んでいくと関係性が変わってきます。

理想的な夫婦の在り方とは?

理想的な夫婦のあり方とは共通の人生目標を持って、夫婦で協力してそれを実現するあり方です。同じ価値観を持ち、同じ信念を抱く夫婦は、必ず円満です。交際している男女、あるいは夫婦の努力の方向性とは、限りなく、そうした状態に近づけていくことにあります。その状態から、離れれば離れた分だけ、男女の関係にさまざまな問題がおきてくるのです。その結果、苦しみから逃れようと、不倫に走ったり、浮気したり、酒やパチンコに依存したり、人によっては、パニックやうつ状態になって通院し、薬で症状を抑え込んで、どんどん薬が増えていくような結果になったりします。自分が支配する側になっている人も、根っこの部分では、「見捨てられ不安」があり、深層意識における原因は同じです。不安から人を支配し、上位に立って愛を簒奪しようとするのです。その方法では決して満たされないにもかかわらずです。この「見捨てられ不安」という愛情欠乏の深層意識は、幼児期に原因があるものと、前世のトラウマに原因があるものと、二種類があります。

紆余曲折があってこそ、ゆるぎない信念が育つ

前世療法やインナーチャイルド療法が、このトラウマの解除を促進します。恋愛依存症という言葉は厳密には医学用語ではありません。医学用語であるアルコール依存症などとは区別して考えるべきです。実際には、ほとんどの人になにがしかの愛着障害の傾向があり、すべてを病気ととらえることは行きすぎです。男女関係において、苦しさ、生き難さを感じるとき、その行き過ぎた部分を自覚し、ニュートラルな状態に近づける工夫をすることで、問題は解決していきます。「あなたは恋愛依存症という病気だからそれを治して克服しなさい」と誰彼なくいうセラピストは、少し行き過ぎた見方をしているともいえます。紆余曲折こそが大切な学びであり、それがあるがゆえに、揺るがない信念を持つことができるのが人間です。すべては必然、必要だったと過去をとらえることはとても大切なことなのです。心の中で恨んでいる対象が一つ減ったら減ったぶんだけ、自分の自己実現が近づきます。恨んでいる対象、憎んでいる対象、嫌っている対象、批判している対象を、一つまた一つと手放しましょう。それは他者だけではなく自分の一部かもしれません。そして、手放すとき、一番、効果的なことは、良いこと、素晴らしいこと、人生の立志発願に、意識をしっかりとむけて、そのプロセスをイメージしながら、楽しみに生きることです。

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